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原子力規制検査の概要

原子力規制検査に基づく監督

原子力規制庁は、事業者が自ら改善活動を積極的かつ的確に運用することを求めた上で、「原子力規制検査」を行い、事業者の弱点や懸念点などに注視して監督を行います。
こうして、事業者自らの気付きと原子力規制庁の「原子力規制検査」による気付きの双方が、改善活動の契機となり、原子力施設が、「安全上の影響が大きい事象」に至る前に、改善に結びつくことを目的としています。
「原子力規制検査に基づく監督」は、図1のような、概略フローで行われます。

原子力規制検査における監視業務の概略フロー

図1原子力規制検査における監視業務の概略フロー

原子力規制検査における監視業務の概略フロー図

(1)検査

原子力規制庁により、日々行われる日常検査と一定の頻度をもうけて行われる専門的な知識を持ったチーム検査が行われます。これらの基本検査とは別に、必要に応じて追加検査、特別検査が行われます。

(2)安全実績指標

原子力規制庁の原子力検査官による検査とは別に、事業者自らが指標をもうけて、施設の保安状態を報告します。

(3)安全重要度の評価

検査で指摘事項が見つかったり、安全実績指標が指定のしきい値を超えた場合には、原子力規制庁、必要に応じて原子力規制委員会により、事業者の検査対象の安全活動の劣化状態を、色を付けて評価します。

(4)規制対応措置

事業者の安全活動の劣化状態の評価とは別に、必要に応じて規制対応措置を講じます。

(5)総合的な評定

原則として、年に1回、検査対象の安全活動の状態に対して、総合的な評定を行うとともに、事業者への通知及び世間への公表を行います。

検査制度の見直しに関する検討の経緯

核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「法」という。)に基づく検査制度は、これまでも何度も見直されてきました。しかしその見直しは十分ではなく、福島第一原子力発電事故の教訓を踏まえつつ、更なる検査制度の見直しの必要性が出ていました。加えて、平成28年1月のIRRSミッション報告書の勧告も受け、原子力規制委員会での検討を経て、令和2年4月に新たに施行された検査制度が原子力規制検査です。

経緯を経て見つかったこれまでの検査の問題点

検査制度の見直しに関する検討結果として、以下のような問題点が見つかりました。

  • 事業者が安全を確保するという一義的責任を負っていることが不明確で、規制機関のお墨付き主義に陥る懸念がある。
  • 重複のある混み入った形態の検査が複数あり、法令において、検査対象や検査時期が細かく決められているため、事業者すべての安全活動に目が行き届いていない。
  • チェックリスト方式の検査であるため、 安全上重要なものに焦点を当てにくい体系となっている。
  • 規制機関の検査官が独自で行うのではなく、事業者の検査対応部門を通じた図面、記録の確認や現場巡視が中心であったため、事業者の視点に影響された検査になる可能性が高い。

原子力規制検査の特徴

これまでの検査の問題点を踏まえて、以下の特徴を持った原子力規制検査を行うこととなりました。

特徴

  • 「いつでも」「どこでも」「何にでも」、規制委員会のチェックが行き届く検査
  • 安全確保の観点から事業者の取り組み状況を評定
  • これを通じて、事業者が自ら安全確保の水準を向上する取り組みを促進

検査制度の改正前後の違い

1.事業者自らの改善活動を促進

制度改正前:事業者の改善を促進しない体系
  • 事業者が安全を確保するという一義的責任を負っていることが不明確
  • 規制機関のお墨付き主義に陥る懸念
制度改正後:事業者の責任を明確化することで、自らの改善を促進する体系
  • 事業者自らに検査義務等を課し、規制機関の役割は事業者の取り組みを確認するものへ

2.安全活動全てが監視対象であることの明確化

制度改正前:事業者の全ての安全活動に目が行き届かない
  • 重複のある複数かつ混み入った形態の検査
  • 法令において、検査対象や検査時期が細かく決められている
制度改正後:規制機関のチェックの目が行き届く仕組み
  • 規制機関の全ての検査を一つの仕組みに一本化
  • 検査の対象は、事業者の全ての安全活動

3.リスクの観点を取り入れた検査

制度改正前:安全上重要なものに焦点を当てにくい体系
  • あらかじめ決められた項目の適否をチェックする、いわゆるチェックリスト方式
制度改正後:安全上重要なものに注力できる体系
  • 安全上の重要度から検査の重点を設定。
  • リスク情報の活用や安全実績指標(PI)の反映などを取り入れた体系
  • 安全確保の視点から評価を行い、次の検査などにフィードバック

4.現場の実態を確認する運用

制度改正前:事業者の視点に影響される可能性
  • 事業者の検査対応部門を通じた図面、記録の確認、現場巡視が中心
制度改正後
  • 検査官が必要と考える際に、現場の実態を直接に確認する運用
  • 規制機関が必要とする情報等に自由にアクセスできる仕組みを効果的に運用
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